第7回 文学フリマ大阪に参加しました

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9月8日大阪、天満橋OMMビルにて第7回文学フリマ大阪が開催された。文学フリマに参加するのは、一般参加も含めて今回が初めてだった。もちろん、同人誌を作るのも今回が初めて。何もかもが初めて尽くしだった。

これまで何度かコミケに足を運んだことがあったので、同人誌即売会の空気感はなんとなく分かっていた。だけど、出店者として参加するとなると、どんなものなのか想像もつかなかった。

 

 

遡ること半年前、何となくノリと勢いだけで文学フリマへ参加申し込みをしたのが全ての始まりだった。

 

ずっと小説を書こうと思っていた。書きたいこと、語りたいストーリーはずっと頭の中にあった。ただ、それを形にする勇気がなかった。

自分のストーリーが他人に、まったく見ず知らずの誰かに、受け入れられるということが想像できなかった。

時間がない、ズブの素人に小説なんて書けるわけがない――くだらない言い訳をして長い年月が経った。そんな自分に嫌気がさして、今回初めて文学フリマへの参加を決めた。

そうだ、ズボラな少年が夏休みの宿題を「あえて」放置することで自分を追い込み、8月最終日になってようやく火事場の馬鹿力で一気に仕上げようとする、あの試みと同じ原理だ。

つまり、無理矢理にでも期限を設定してしまえば、いくらモノグサな私でも重い腰をあげるだろう、というじつに短絡的な発想である。

だが、夏休みの宿題を、日付が変わった9月1日から解答を丸写ししていた私が、そんなことで焦るわけもなく……
いよいよ焦りを覚え始めたのは、7月に入ってからだった。ここだけの話、7月に入るまで1ページとして書いていなかった。しかも折悪く、7月に職場の上司が退社し、平日に使える時間はほぼ皆無になった。

 

敢えて言おう、アホであると。

 

そう、典型的な「欠点を取る学生」の図である。なんだったら注釈つきでWikipediaに載せたって構わない。まさにアホである。

かくして、地獄のような2ヶ月が幕を開けた。7月に入ってから文学フリマ当日までの2ヶ月弱、私は未だかつて経験のないほど睡眠時間を削った。朝に弱いうえに、6時間睡眠を確保しなければ不調をきたす私だったが、事ここに至ってそんな呑気なことを言っている場合ではなかった。

人間、お尻に火がつけばどうにかなるもので、1日3時間睡眠が続いたというのに疲れは感じなかった。

コーヒーとタバコの消費量だけが増えていき、日課となっていたジム通いは遠い思い出となった。食生活も乱れに乱れ、体重もかなり落ちた。この2ヶ月間、サントリーの『クラフトボス』を日本で一番消費していたのは私だと、胸を張って言ってもいい。夭折した今敏監督の受け売りではないけれど、「カフェインとニコチンが私のガソリン」だった。

ストーリーの構成や人物設定、リサーチなどは今年の明けに終わっていたので、後は文字に起こすだけだったのだが、「小説を書きあげる」ことに慣れていない私がそう簡単に書けるわけもなく、事態はいよいよ『サクラダファミリア』のような様相を呈してきた。

 

端的に言うと、「全然進まねぇよ……」と相成る。

 

7月も半ばに達した頃には、気が狂いそうになった。だが、追い込まれれば人間何だってできるものである。切羽詰まった孫悟空がスーパーサイヤ人に目覚めるような、そんな感覚。7月後半に入ってからの私は、PCで言うところの「メモリ解放」状態だった。(←自分で言うな)

 

第7回文学フリマ大阪 新刊

ホントにギリギリで完成しました……

 

何とか8月半ばには原稿が仕上がり、表紙カバーのデザインも終わって印刷屋さんに入稿することができた。「あとはブース周りのデザインとか実務的なことだけだな」なんてタカをくくっていたのもつかの間、いざ本が届いて中身を確認してみると間違いだらけ……

 

というか、間違いしかない……

 

『ウォーリーを探せ』の逆バージョンのようだった。これは決して誇張ではなく、正しい部分を探す方が難しかった。
冒頭の引用とか献辞は1ページズレてるし、ページ数は内側に書かれてるし、物語の最後の一行で致命的な変換ミスがあるし、誤字脱字が大量にあるし……

仕事の休憩時間、ようやく届いた本に目を通していた私は絶望したものである。すぐさま印刷屋さんのホームページで最短納品の期日を調べてみると、2日後には再び入稿しないとどう考えても間に合わない。つまり、修正に費やせる時間はあと48時間を切っていた。

ここで、『スーパーサイヤ人2』の出番である。丸2日間、一睡もせずに修正してどうにか入稿にこぎ着けた。コーヒーでは力不足だと思い、レッドブルを致死量寸前まで飲んでどうにか生きながらえた。

頭はフル回転してオーバーヒート、空腹感は麻痺し過ぎて吐き気を覚える――そんな状態で入稿締め切りの15時を迎えた。実際には15分ほど期限を過ぎていたのだけれど、そんな私を責めずに温かく受け入れてくださった『ちょ古っ都製本工房』様、本当にありがとうございました。何度頭を下げても足りないくらい、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

参考 ちょ古っ都製本工房Webサイト

 

そして迎えた9月8日。


ようやく本が完成したという達成感と、手にとってもらえるのだろうかという不安を胸に、私は会場である天満橋OMMビルへと向かった。会場から徒歩圏内に住んでいるし、会場設営には参加する義務があるような気がしたので、早めに家を出た。

運営事務局からのメールには「文化祭的なノリがあって楽しいから、会場設営にも参加してね」と書いてあった。実際に設営に携わってみると、言い得て妙だと思った。学生時代、文化祭そっちのけでコミケの準備をしていた私にとって、「文化祭的な空気感」はすごく新鮮だった。というか、ぶっちゃけて言えば「めっちゃ楽しかった」。

慣れた手つきでブース設営を済ませる方々を尻目に、内心びくびくしながら喫煙所へ向かった。開場時間30分前だというのに、入り口付近には既に列ができていて驚いた。しかも、待っている最中にスマホでニュースを見るのではなく、二段組の文庫本を読んでいるような方々ばかり。かく言う私も、待ち時間には必ず本を開けるタチなので、同じ波長を感じてちょっぴり嬉しかった。今までモニタの前で想像するしかなかったお客さんの姿が見えたとき、「いよいよ始まるんだな」という実感がようやく湧いてきた。

本職で接客業をしているとは思えないほどのコミュ障っぷりで、私は4時間ほどブースに座っていた。「まぁ、初めてだし5冊くらい売れればいいかな」とかネガティブなことを考えていたのだけれど、思いのほか手に取って下さって本当に泣きそうなくらい嬉しかった。というか、内心では号泣していた。

 

手に取って下さった方々、本当に、ほんとうにありがとうございました。

 

開場から4時間が経過して、ようやく落ち着きを取り戻した私は、気になっていたサークルさんの本を購入して文学フリマを満喫した。

 

第7回文学フリマ大阪 戦利品

今回の戦利品。どれも素敵な本ばかり。

会場の片付けを終えて帰宅した私は、死体のように眠った。丸々12時間寝て、次の日はずっと体がむくんでいた。今回、初めて文学フリマに参加して本当によかったと思う。何もかも初めて尽くしだったけれど、ほかの何にも増して楽しかった。ただ、ひたすらに楽しかった。

達成感に浸るのはこれくらいにして、そろそろ次の作品に取り掛かろうと思う。作品の構成は何年も前から頭の中にあった。今までは、それを形にする勇気がなかったけれど、今は物語を書きたいという欲求の方が強い。
「最新作が私の最高傑作だ」――これはチャップリンの言だが、今の私の心境もこれに近い。

次回は、締め切りに追われることなく、一定のペースで着実に宿題をこなす「優等生」になろうと思う。

今回、ブースに足を運んで下さった方々、本当にありがとうございました!
また次回、お会いする日を楽しみにしています。

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